statement

火と接するとき、あらゆる物質は燃焼によってその姿を変化させる。

紙や木材の炭化、石油製品の液状化、金属の湾曲など、火によって引き起こされる物質のリアクションは様々だが、私はこれを強調・反復・積層させることで、通常の燃焼による変化のなかだけでは見慣れない質感や状態として提示する。

一方で、影響を受けるのは物質だけではなく、火もまた、存在するためには何かを焼失し続けなければならない。

その姿を留めるための支えを自ら失い続ける自己矛盾した火の特性を考えるとき、私の制作過程も「作る」ことと「壊す」ことが同時に発生する状況の上に成り立っていると言えるのではないか。

素材を組み上げては燃焼によって崩す反復作業の中で生成と解体は入り混じり、どちらも等しく制作のプロセスとなる。

私はこうした性質を持つ作品を通し、作ることと壊すことの両義性と、その中で決断される作為と偶然の境界を探っている。